バーフバリ前日譚「The Rise of SIVAGAMI」序文翻訳

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 「バーフバリ」前日譚、"The Rise of SIVAGAMI"の映像化が発表されました。本作のミニ・シリーズ化は既に昨年夏の段階で既に明らかにされていたのですが、具体的時期にまで触れていただいたのは先日のインタビューが(おそらく)初めてになるかと思います。

 "SS Rajamouli revealed that since he cannot compile the book The Rise of Sivagami into a 2-3 hour movie, he will bring it out as a mini television series." とあるとおり、「2-3時間の映画に収まるものではない」、壮大な物語がシリーズとして展開されることが予想されます。

 本作は日本からもKindleで購入することができ、現在80%近く値引きされ300円前後となっています。現在のところ半分近くまでしか目を通せていませんが、なるほど1巻の段階で非常に密度の濃いドラマが展開されています。

 ここでは序文の翻訳を掲載します。もし購入に躊躇している方がいれば、ご検討の一助としていただければと思います。またコミック版"Baahubali:Battle of the Bold"Kindle Unlimitedでも読むことが可能です。30ページほどの読みやすさながら、最終ページには映画「バーフバリ」にも影響を与えかねない重要な伏線がさらりと張られています。

"The Rise of Sivagami" 序文 - S.S. Rajamouli

 私たちは「バーフバリ」を創りあげたと同時に、あるジレンマに陥りました。想像上の国に過ぎなかったマヒシュマティは、テーマを掘りさげるたびに拡大を続けました。そこにはいくつもの語られるべき物語があり、それらは2時間半の映画を2本使っても到底収まりきるものではありませんでした。私はそれら魅力的な物語を決して放棄したくはありません。キャラクターたちはページの影から、かれらの物語が語られるのを待ち焦がれていました。暴かれることのない秘密、スリリングで恐ろしい陰謀。もしもマヒシュマティの時間を戻したとしたら、魅力的な話が次々と生まれてくることはわかりきっていました。

 幼き日、読書は私にとって最高の時間つぶしでした。ただ「読んだ」だけでなく、「消費し尽くした」といったほうが適しているでしょう。スリラー、ミステリー、ドラマ……ジャンルはなんでもよかったのです。しかしながら歳を重ね、多忙、そのほかの諸々に追われるうち、読書の時間は私の人生から消えていきました。もちろん時間の不足も原因のひとつですが、最大の原因――幼少期の最も愛した習慣が消えた理由は――読んだ本たちが私の渇望を止めてしまったことにあります。私は未だに本を何百冊も買い続けていますし、読書愛を再燃させようとするのですが、数チャプターを読み終えるころには興味を失ってしまいます。そんなとき、"Asura:The Tale of the Vanquished"に手をのばしたのです。

 この本を読み終えたとき、私は大いに揺さぶられました。シーンはとてもパワフルで動きに満ち溢れ、涙を抑えるためページをめくる手を止める必要があったほどです。今日も、この本は世界で最も優れていると信じています。”Asura”を読み終えたとき、著者に会うべきだと感じました。この本は私を吹き飛ばしただけでなく、「読者」に戻してくれたからです。これがAnand Neelakantan――"Asura"の著者であり、今は”Rise of SIVAGAMI"の書き手である彼との出会いです。私たちは座して互いの制作プロセスについて語り合い、そして彼を我々のオフィシャル・ストーリーハンター――マヒシュマティの過去に向かい、その歴史に光を当てる、年代記の著者として迎えることに決めたのです。

 彼はすぐに10のチャプターを、一度に送ってきました。一旦読み終えると、彼に電話をかけ、メールとメッセージを送り、こう伝えました――”残りをすぐ送ってくれ!" 。次チャプターが届くまでの時間は待ち遠しかったです。この驚異的な本を読んでくれるはずの皆さんなら、すぐに私の熱意を理解してくれるでしょう。

 私が与えたこの本のコンセプト、非常に小さなインプットからAnandが作ったものには大いに驚かされました。最初の読み手のひとりとして保証します――”Rise of SIVAGAMI”のストーリーはあなたを捉えて離さないだろうということを。

 私はたしかにシヴァガミにスクリーン上での姿を与えたかもしれません。しかし"Rise of Sivagami"において、Anandは彼女に翼を与えたのです。